もう先月のことになりますが、嬉しいニュースがあったのでちょっとそのことについて書こうと思います。
早見和真氏の小説『ザ・ロイヤルファミリー』
が、なんとTBSの日曜劇場で放送されることになったようです!
https://www.tbs.co.jp/RoyalFamily_tbs/
『ザ・ロイヤルファミリー』についてはずいぶん前になりますが、当ブログでも書いたことがあります。
▽当時の記事▽
とにもかくにも、これは嬉しいですね。
まず嬉しいのは、TBSの『日曜劇場』という、令和の月9ともいうべき、日9枠(?)で放送されるということです。昨今あまり元気がない印象のテレビドラマ界の中で、最も話題になる枠で「競馬を扱うドラマ」が放送されるという、これだけでもなかなか凄いことじゃぁありませんか。
まして、ましてですよ。秋の日曜夜といえばほぼ例外なく、「G1レースを終えた後」なんですよ。競馬ファンにとっては興奮冷めやらぬ中、もう一つの競馬があるというようなものです。
ちょっとカッコ良くいえば、日曜夜の13レースと言いましょうか。個人的には20時50分発走の高知ファイナルを買った後になだれ込んで行く感じになるかもしれません。(とかいって風呂上がりにTverかもしれないですが、やはりリアタイするぞの気合いであります)
そしてもう1つ、個人的に好きな作家である早見和真さんの作品が映像化されるというのも嬉しいことです。
というのも5~6年ほど前だったですかね、当時放送されていたラジオの中で早見さんが、
「いろんなオファーが来ているけどちゃんと見極めていて、いつか本当に良い舞台・良い場所でこの作品を映像化できたらいい」
というようなことを、ちょっと詳細な発言を覚えていないんでだいぶ意訳ではあるんですが、仰っていたんですよ。
なんとなくそれを聞いた際に、いつかとても大きな場所で映画化されるとか、ドラマ化されるとかするんだろうなと、ひそかに楽しみにしていたんですね。なので、その当時のラジオでの話とこのたびの発表とで、長い月日を経て点と点が長い一本の線で繋がったような、ささやかながらも大きな喜びがありました。
まだ未読の方も多々いらっしゃると思うので、小説としての早見作品の魅力についても少し触れておきましょう。
もちろんそれは多々あると思うんですけど、もし一つ挙げるとすれば、特に凄いなと思うのは人物描写、もっといえば人間の観察眼なんですよ。少々生意気な物言いになってしまいますが、何かに携わる人々の心の動きを本当によく捉えているなと思うんですね。
今年の春に出版された、
の中で、主人公の小学6年生の十和(トワ)が、大阪にいるおばあちゃんが急にお年寄りに見えたっていうシーンがあるんですが、そういう些細な感覚と感性にすごくリアリティーがある。ちょっとこれは読んでいただかないとわからないのですが。
少々仰々しい話ですが、優れた表現者は自身の中に二面性を持っていると思うんですね。
わかりやすい例えをするならば、
勝手にシンドバッドを歌った後にいとしのエリーや平和の琉歌を歌う桑田佳祐であったり、あるいは映画監督としてトロフィーを手にする「世界のキタノ」と熱湯コマーシャルのスタジオで笑ってる「足立区の北野武」だったり、そういうことです。
早見和真さんは、そういった意味で表現者としての二面性みたいなものがあるのかなと感じています。
あまり好きな言葉ではないですし、陳腐な表現になってしまうのですが、今風に言うと、
「陽キャ的感性と陰キャ的感性を併せ持っている」
とでもいいましょうか。
これは原体験として名門校の野球部にいたことと、その中で本来言語力の高い自分が取材対象になれなかった経験などがあるのかもしれないと想像しますが、これはあくまでも憶測です。
話が長くなりましたが、好きな作家さんの、それも競馬を扱う作品が日曜の夜にドラマで放送されるというのは嬉しいことですね。
しかも主演は妻夫木聡さん。
今年の秋の日曜夜は、楽しみがひとつ増えました。できればG1を当てて気持ちよく見られる、そんな週末が多くあることを願いたいですが…。
明日はいつも通り予想を更新する予定です。