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川田将雅騎手の本『頂への挑戦 負け続けた末につかんだ「勝者」の思考法』を読んだ感想

頂への挑戦

そういえば最近本の感想とか書いていないなと思ったので、たまには書こうと思います。

せっかくなので最近出たもので…

川田将雅騎手頂への挑戦 負け続けた末につかんだ「勝者」の思考法

正直にいうと、表紙とタイトルを見た瞬間には少し嫌な予感がしました。

サブタイトルの「勝者の思考法」。そして、そのままルノアールのソファーに座っていたら明らかにそっち系ビジネスの勧誘してそうな雰囲気…。しかも帯が…ケイスケホンダ。

今までいろいろ本は読んだ方だと思いますが、アスリート系の書籍って実は難しいなと感じます。というのも、アスリートはやっぱりその競技のプロフェッショナルで、その競技において積み重ねたもの、競技特有の努力になによりの凄みがあると思うんです。

一方、書籍を作る側はやはりビジネス。競技特有のものをより普遍的なものへと”変換”して、言語化して売る。

それが行き過ぎると、

「これはビジネスパーソンにも同じことが言える。例えば○○という考え方は…」
「これは皆さんの職場でも同じことがあるのではないか? 例えば…」

みたいな、ややとってつけた感、付け焼刃感が出てしまう。落合監督の『采配』は多少ビジネス寄りにし過ぎた感じがあった気がします。(まぁ、それでも売れたんだからいいだろっていうんだったらそうかもしれないですが、個人的には『嫌われた監督』の方が圧倒的に良いと思います)

もちろんアスリートの積み重ねて来たものをビジネスや自己啓発に落とし込む手法がすべて良くないわけではなくて、例えば長谷部選手(サッカー)の『心を整える』は、書籍としても面白かったし、ためになるものだったと思います。

話を戻します。川田騎手の書籍も表紙の雰囲気、タイトルからビジネスパーソンに捧げる系に偏り過ぎるとどうかなと思いました。

でも、結論から言うと、読んだら裏切られました。いい意味で。

素直に、川田騎手の自伝ですね。

これまでの生い立ち、そして騎手になるまでの経緯、騎手になってからの苦悩、徐々に進化していく過程、リーディングへの渇望、なかなか手が届かない中でのもがき、そして「頂」=リーディングの獲得(もちろんもっとこの先に”頂”があるのだとは思いますが、現時点で)。素直に書かれていました。

詳細は読んでいただきたいですが、福永騎手への思い、中内田調教師との出会い、そして松田博調教師にいわれた言葉などなど。個人的に印象的なのは勝負服のパンツについてのこだわりのところ。

川田騎手って見てても几帳面だなと思うんですよね。そういう積み重ねが、今の地位を築き上げている大きな要因なんだなと。

さて、ココからは少し個人的な話ですが、川田騎手がデビューしたのはちょうど僕が関西(京都)にいた頃で、毎週のように淀に通っていた時期。ですから、よく覚えています。

その頃からの変わらぬ印象は2つ。

1,戦略家である
2,とにかく勝利に飢えている

戦略家たる面は、もう10年ほど前ですが、当時の派手な追い方については多少アピールもあると言っていたこと。もちろん全面的に良い意味で、頼もしく感じました。

勝利への渇望感は本当にデビュー当初から、各所で感じられました。インタビューでも常に上を目指している感がビンビン伝わってきましたよね。

川田騎手で覚えているのはやっぱりゲヴァルトですかね。まだ若手騎手のころ。ゲートで暴れて死んでしまった馬です。

もう一頭挙げるならトウショウカズンでしょうか。トウショウカズンの大和Sは当時の川田騎手らしさが詰まった一戦だったなと、今でも印象に残ってます。

(興味のある方はぜひ直線の映像をご覧ください)

2023年は年明けから絶好調といって良い川田騎手。リーディングを獲って、またワンランクステージが上がったのかもしれませんね。

書籍の中でも取り上げられていますが、2番手がレースをコントロールしやすいという話はちょっと興味深かったので、またいつかレースの戦略に関わる話もいろいろ読んでみたいなと思いました。

↓サクサクと1時間もあれば読めるので、興味のある方は。

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